高校を卒業した後、18歳で地元である奈良を離れ、片道1500円の夜行バスで上京したあの日から早6年。
東京でやりたかったことやどうしても東京に行かなければいけない事情はなかったが、ただただ都会への憧れで田舎から飛び出してみた。抽象的ではあるが、何者かになりたかったのだ。
そしてなにより、大学に行けなかったことや、地元で真面目にサラリーマン生活を送らなかった自分を正当化するように上京した背景もある。
というのも、東京といえばありとあらゆる人が集まる。それはもうありとあらゆる人が。
18歳でいろんなコンプレックスを抱えていた俺は、そんな有象無象に埋もれたかった。
そして、紆余曲折を経て20代前半という”若さでなんとでもなる時期”を終え20代後半に差し掛かった今、上京してよかったことや感じたことを振り返って綴りたいと思う。
進学や就職だけではなく、俺と同じような理由で上京する人が居たら、参考にとまでは言わないが少しでも刺さってくれればこの記事の書き甲斐があります( ^ω^ )
上京という選択は、高卒の自分には良かった
結論として、「上京しなきゃよかった」と思ったことは無い。
上京生活は、無知で世間を知らない自分にたくさんの刺激と新たな価値観を与えてくれた。
とはいえ、今現在も「自分にはこれしかない!」といった仕事や「この人に出会う為に田舎から出てきたんだ!」と言えるような運命的な出会いもない。
上京先のマンションの初期費用を払い、手残り2万円だけ握りしめて新宿に降り立ったあの日からお金はずっと無い。むしろ借金してる。なんじゃそりゃ。
ただ、それでも高卒で上京してよかったと思える理由を、実体験を踏まえて3つほど挙げていく。
1.刺激的な生き方をしている人にたくさん会える
先ほども述べたが、東京には本当に色んな人がいる。
・起業を夢見て、日夜バイトをしながら色んなセミナーに足を運ぶフリーター
・中退した大学の奨学金を払うために、歌舞伎町で夜の蝶になった元女子大生
・パソコン1つ持って1日中カフェを転々とする意識高い系フリーランサー
・ライブ配信でインフルエンサーを目指すニートのヒモ男性
上記に挙げた人達は、俺が上京してから飲み屋だったりバイト先だったりで出会った人なんだけど、みんな地方から上京してきている。
この人達に共通しているのは”東京に来てからこの生き方になった“というものだ。
「なった」というより「そんな生き方もアリ」と気付いたのだろう。
そして、この人たちに話を聞くと、みんながみんな自分の人生や今までの生き方に対して何かしらのコンプレックスを抱えていたのだ。
というのも、地方の田舎になればなるほど所謂”真面目な人生レール“の意識が強い。
大学に行き、地元か近くの地方都市の企業に就職。そのまま地元の人と結婚をして子供を産み、相互の家族ぐるみで仲良くする。といったようなイメージ。
その意識はもちろん素晴らしいと思うし1つの人生の理想系だと思うが、逆にいえば、そのレールから少しでも道を踏み外した者にとっては居心地が悪い。
他者と比較し、過去の自分を責め続け、環境のせいだと言い訳をして荒み続ける心。
そんな人たちにとって東京は”レールから踏み外したままでも生きていける環境“なんだと思う。
他人にあまり干渉しない街だから無理に周りと合わす必要もなく、似たような境遇の人やもっとヤバい人がわんさか居て、下には下が、上には上が居て、比較することがバカらしくなってくる。
それが、何かしらのコンプレックスを抱えながら生きる人たちが思う東京の居心地の良さなんだと思ってる。
そして、そんな人たちと出会えた東京は、俺自身にとっても刺激的で居心地がいいって話。
2.田舎者が抱く都会への憧れを満たせる=自分と向き合える
田舎者には2種類のタイプがいる(ロー○ンド風)
自分の住んでいる田舎をバカにする者と、バカにしない者だ。
18歳までの俺は、前者。住んでいる田舎をバカにする人間だった。
都会に憧れ、経験したことない生活と今の生活を勝手に比較し、現状に不満を述べるだけの小僧だった。
「東京には夢がある。新しい自分にも出会えてお金も稼げて、きっと理想的な生活が待っている」と妄想ばかりして、ろくに現実と向き合ってこなかった。
学歴社会のレールから外れたことにより、余計なプライドと過度の幻想を抱くようになってしまっていたのだ。
ところが、実際に上京をしたとて別に新しい自分なんて居なかったし、むしろ、何者でもない”からっぽな自分”が浮き彫りになっただけだった。
この時、人生で初めて心の底からちゃんと自分自身と向き合えたと今になって思う。
口先だけで行動をしていない自分、無意識に他人や環境のせいにしてしまう自分、理想を現実逃避の材料にしていた自分…
それらに気づいた時はとっても恥ずかしかったし虚しかった。今まで俺は何をしていたんだ。と悲しくなった。
それぐらい自分と向き合えたし、避けてきた自分の弱さが露わになった。
そして、ひたすら凹みまくってひたすら考えて、最近になってやっとプライドを捨てる勇気と現実を受け入れる覚悟が出来たと思う。
仮に、地元から出ずにずっと田舎暮らしをしていたらもっと考え方は拗れていただろうし、自分自身が無力であるという現実に向き合おうともしなかっただろう。
長々と話してしまったが、俺は上京したことによって自分の過去や環境などが関係のない本当の意味での0からスタートが出来たと思っているから、同じように都会へ過度の憧れを持っている人にとってこの話が少しでも参考になればと思います。
まぁ、今は借金生活で0というよりマイナススタートやけどね。やかましわ。
3.チャレンジする大事さを知れる=後悔を無くす
上京は、当時18歳の俺にとってはとんでもないチャレンジ。
生活の保証もないし、仕事も決まってない。
ただ、家庭の事情により実家以外の場所に引っ越す必要があった。
別に地元でもよかったのだが、俺は上京を試みた。
結果、”上京しなかった”という後悔は無くなった。
それだけで御の字なんじゃないかと、最近思い始めた。
というのも、俺は20代中盤というまだ比較的若い部類に属するけど、自分の人生の中でしんどいことランキング1位が定まりつつあるのだ。
それは「後悔」
これからは、後悔をしないように/後悔を無くす為に生きていくと言っても過言ではないレベル。
今までの人生のモットーは「痛みを避けるように生きる」だったけど、今は「後悔を抱えないように生きる」に変わった。
そんな自分にとって"上京しなかった”という後悔を抱えなかったのは良かったのではないかと思っている。
もし、あの当時に上京せず地元に住み続けていたら、上京した人間に対しての憧れや嫉妬で余計心が荒んでいたと思う。
それほどまでに、後悔はなんの得もない感情。
よく意識高い系の自己啓発本で「チャレンジをたくさんしよう」みたいな話が出る度に、
「でも失敗したら心しんどいし、時間もお金もなくなるやん。なにゆーてんねん」
と思ってたけど、これは”チャレンジしない”という後悔を消す意味もあるのかもね。
まとめ
よくある”上京してよかったこと○選〜”的なブログ記事よりかは抽象的な内容になってしまったと思う。
ただ、進学でも就職でもなく都会への憧れと幻想だけを抱いて田舎を飛び出すあるあるな若者が感じたリアルな心情を書いたつもり٩( ‘ω’ )و
結果として、今のところは上京という選択は自分にとって良かったと思ってるし地元に帰るつもりもない。
けど、結婚とかのイベントがあったら住む場所も変わるだろうし、帰る場所がある人は都会生活に疲弊したら地元に帰るのもアリだと思ってるから、臨機応変に生きていけばいいと思う。
これから新生活を送る人たちへ、陰ながら応援しています。